のぞみ整体院
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整体・身体観 28

191122 姿勢と緊張、身体と心。

 お客さん(Pさん)から、姿勢が良くなったせいかいろいろな場面で緊張することが減りました、と言われました。
 これはわりとよく聞くことで、皮膚・筋肉の癒着が身体の動きを制限していて、その制限が〈緊張しているときの姿勢〉とよく似ている場合に起こります。たとえば、肩に力が入った姿勢、です。

 肩に力が入った姿勢は、手先か、頭・顔、あるいは腰・おしりに古傷があることと関連します。手の指先に古傷があると〈指先を支える筋力〉が低下しますので、その指先の筋力を前腕が手伝う⇒前腕を上腕が手伝う⇒上腕を肩が手伝う、と筋肉の〈力のお手伝い〉が連鎖します。で、結局その負担の全部を、力の大きな肩が引き受けます。
 〈力のお手伝い〉は無意識・無自覚のはたらきですから、本人に力を入れているつもりはありません。が、実際に力は入っています。ただし必要があって身体が入れている力ですから、がんばって意識・努力してみたところで、肩の力を抜いたままにすることはできません。「ハイ、リラックスして〜」とか言われても、無理なのです。ちなみに頭・顔の古傷の場合は、頭・顔⇒首⇒肩と連鎖し、腰・おしりの古傷だと、腰・おしり⇒背⇒肩と連鎖します。
 古傷が原因でできた癒着をほどくと、とくにリラックスを意識しなくても、勝手に肩の力は抜けます。これは指先あるいは頭・顔・腰・おしりの筋力が回復して、〈力のお手伝い〉の連鎖が解消するからです。

 と、ここまでは私の施術では当たり前の理解ですが、改めて考えると、「緊張した姿勢をしていると精神的にも緊張しやすい」というのは興味深いことです。
 どなたが言ってたのか忘れましたが、「楽しいから笑顔になるのじゃない、笑顔を作ると楽しいと感じるのだ」とか、こちらはフランスの哲学者アランが書いていましたが(あれ? 先のもアランだったかもしれません)、「心は思い通りにならないけれど身体は自由に動かせるから、気持ちが落ち込んだときには身体を動かせ、そうしたら心も上向いてくる」とかいうようなことは昔から言われていました。
 だから、あるんだ、と言えばあるんだろうし、実際私も「緊張が減った」というPさんには「よくあることです」とあっさり応えましたが、しみじみ考えると結構おもしろい現象です。


 先日は、長らくお世話になっているお客さん(Qさん)が、最近になくしんどそうな状態で来院されました。ずいぶん昔に非常に深刻な事故に遭われているのですが、その後遺症への施術がうまくいって、この数年は小康状態にありました。それがガクッとしんどそうにしておられるので、「何か変わったことをしたのですか?」と訊くと、趣味にかなり入れ込んで、少々ムチャに動いたとのことでした。
 あ、なるほど、わかりました。納得して施術を始めると、Qさんは、今回のしんどさは、事故後にしばらく続いた不快な症状と同じなのだ、と不安がられました。で、身体の状態を確認すると、確かにこれまでは落ち着いて目立たなくなっていた〈事故に関連する部位の癒着〉が大きく目立っていました。これは、癒着が〈悪化した〉ためではなく、それまでの活動量では〈隠せていた〉癒着が、活動量を増やしたために〈隠せなくなった〉状態です。そうして、その癒着に対応した症状までが、よみがえってしまった……。

 身体の状態と症状の内容との対応関係の見事さに感心しながら施術して、Qさんには、「ただの〈よみがえり(=フラッシュバック)〉で、身体的には実際にどこかがどうとかなってしまったわけじゃないですから平気です。でも恐怖感は、当時と同じ質で現われますから不安になられるのは仕方ないです。とりあえず身体は緩まりましたから、じきに落ち着くと思います」と説明しました。
 Qさんとはふだんから軽口を叩き合っていますので、「またもっとムチャに動いたら、〈よみがえり〉はまた起こるでしょうけど、それを施術で収めてしまえば一段と元気になれますよ。だからじゃんじゃんムチャしてください」と笑いながら言うと、Qさんは、人のつらさも知らずにエゲツナイこと言うなあ…という顔で聞いてから、「あ、そう、じゃあまた遊んでこよう」と、来院時よりはすっきりした顔でニヤッとされました。
 身体と心の係わりは、なんとも興味深いことです。


200110 足先のしもやけと頭のケガ

 しもやけがひどいのです、と子どもさん(=Pさん)がお母さんに連れられて来院されました。
 手先・足先とも冷えていて、とくに足先のしもやけがひどい、今年はまだマシなほうだけれどそれでももう痛い、と靴下を脱いで見せてくれます。見るからに血色は悪そうで、でも皮膚表面に傷などはなくきれいな状態でした。例年はもっと腫れて色が紫になるそうです。

 実はPさんが来られるのは2回目です。夏の盛りだった前回の困りごとは全然別のことでしたので、しもやけの話は私は初耳です。
 とりあえず、1回目の施術ではまったく触っていない〈後頭部のケガの痕〉から立て直していくことになるのかな。頭のケガでできた癒着は全身の皮膚・筋肉を緊張させることが多いので、そのしわ寄せが手先・足先に及べば血行不良が生じてしもやけになる可能性は高いと想像できます。検査をすると、案の定、後頭部から問題が見つかりました。で、ちくちく施術。

 ちょっと範囲を広げてみるかな、と、明らかに凝っている首や背中に検査・施術をしかけると、こそばゆがられます。
 こそばゆいのは皮膚が凝っているためであることが多く、その場合は、原因である癒着がほどければこそばゆさも減ります。なので、「こそばゆい」と言われた時点でその周囲への検査・施術は諦めて、再び後頭部の作業に戻ります。

 Pさんの後頭部のケガは、幼いときに後ろにひっくり返ってできた打ち身ですが、施術していての感触では、なかなか大変な衝撃だったようです。まだ子どもなのにカンカンに頭の皮膚・筋肉がこわばっていて、首から背中にかけても皮膚・筋肉ともに凝っています。
 1時間、ほぼ頭のみに施術して、その日は終わり。年が明けてからまた来院されて、「しもやけは一層マシになりました」との報告を受けて、続きの施術をしました。

 で、先日、お母さんが施術に来られましたのでPさんの様子を尋ねると、「寝ているときに布団の中でPの足を触ったらとても温かくて驚きました」とのことでした。よしよし。


 大人の人の冷え性でも、整体でよくはなっていきます。ですが、それなりに時間がかかる場合が多い。「頭痛と肩こりと冷え性」という困りごとをお聞きした場合、施術を始めると、頭痛はわりにすぐに頻度・程度が減ることが多く、肩こりは、マシになったけれどやっぱりときどき凝ります、という状態になってきて、そうするうちに、気付けばこの頃あんまり冷えませんね、と言われる。そんな経過をたどることが多いのです。
 今回は子どもさんだったからでしょうか、2回の施術でほとんど冷え気がなくなってしまいました。このまま問題が生じなければ、もう来院の必要はありません。整体は一段落、です。


200126 また、施術にキリを使い始めました。

 昨年末に、自分の背中に施術をする必要を感じて、ハタと困りました。竹串では自分の背中に施術ができない……。これはいままでにも何度か訪れている危機で、その都度なんだかんだしてしのいできたのですが、今回は久しぶりにキリを使ってみることにしました。大工道具のキリの、先を丸めたものです。
 で、これが実に勝手が良かったのです。がしっと丈夫で使いやすいし、一時期、無性に気になった「鉄素材の、接触点が滑る感じ」も今回はあまり気にならず、利点ばかりが実感できました。これは良い! 良い道具だッ!

 で、早速年末からキリの使用を再開することにしました。
 長らく使わなかった、けれど友人の助言で捨てずに保管していたキリの、先端の錆をやすりで落として、ぬるぬるしない程度にクレ556で磨いたら、準備完了です。

 実際に仕事で使ってみての感想は、施術のペースが速くなったかもしれない、と思います。
 ということは、裏を返せば、竹串だけを使っていた時期は作業効率はペースダウンしていたのかもしれないわけで、そう考えると落ち込みます。が、それも含めての試行錯誤ですから、結果を受け止めて素直に落ち込むより仕方ありません。はあ……。

 今後は、竹串の出番は減るでしょうが、竹串でなければできない作業もきちんと残りました。浅い部分の施術、細かい部分の施術、そして何より、使い捨てができて手入れが要らないところも竹串の大きな利点です。なので、これからはキリと竹串の二刀流で施術に臨みます。


 余談ですが、キリの最大の難点は飛行機の機内持ち込みができないところです。
 私が飛行機に乗る機会はほとんどないし、しかも旅先でキリが必要になる事態なんてほぼまったくないのですが、だからこそ却ってうっかりカバンに入れてそうで怖いです……。


200205 キリと竹串

 キリの施術は絶好調です。竹串が砂場用の小さなスコップだとすると、キリはブルドーザー。ザーッと土を動かして、ハイ一丁上がり!の小気味良さがあります。
 しかしブルドーザーだから万能かというとそうではなく、やっぱりあれこれ悩みながら、手立てを考えながら施術しなきゃならないのはキリでも竹串でも同じです。道具は道具で便利だけれど、しょせん最後は使う人の腕次第。当たり前の落ちがつきました。

 キリの得意分野は大きな筋肉。骨の際。癒着の範囲が広くて深いところ。
 竹串の得意分野はなんといっても皮膚。顔。手足の先、ゆび。
 キリの不得意分野は露出した皮膚部分。小さい部分の繊細な施術。
 竹串の不得意分野は大きな筋肉。広くて深い癒着。ねじれをほどく施術。
 頭への施術は、キリが良さそうなときも竹串が良さそうなときもあるようで、その時々で判断しています。顎関節は竹串のほうが良い施術ができそうです。足関節(足首)はキリでするのがいまはおもしろいです。おお、こんなところがこんなふうに動かせるのかと今更気づけたりして新鮮です。

 以前のキリ時代をご存知でない、比較的最近のお客さんからは、「キリで押したりなんかして血は出ませんかッ?!」と驚かれましたが、ちゃんと先は丸めてあります。竹串、とくにそれより細いエビ串のほうがよほど当たりは鋭いくらいで、キリといっても案外尖っていません。もはやキリとしては使えませんので、正しくは元キリ、です。


200218 大人の咳と狭心症

 先日、喘息の治療を病院で受けておられたお客さん(Pさん)から、調べ直すとかなり重症の狭心症だったと判明した、とお聞きして、驚きました。

 Pさんは以前から懇意にしてくださっているかたで、少々遠方にお住いです。ときどきポッと来院されて、咳がひどい、息がしんどい、と訴えられました。アレルギー科や呼吸器内科には継続的に通っておられました。
 お聞きする限り、薬や吸入はあんまり効いていないようで、整体で改善しているようにも思えない。「なんでしょうね……」と首をひねりながら施術していたわけですが、このとき私は「循環器内科を受診してみては?」と思いつけませんでした。

 昨年末、1年ぶりに来院されて、「状態がはっきり悪化してます」とお聞きして、うーん……整体で良くなるようならしばらく続けてみますか……?という話になって、数日後に再び来られはしましたが、明らかに通ってくるのがしんどそうで、「年内にもう一度来たい」と言っておられたのが「年明けにしたい」と変更されて、それきりになりました。

 仕事柄、こちらからお客さんに電話するのは抵抗があって普段はしませんが、Pさんについては以前から仲良くさせていただいていたことと状況がどうにも心配だったこととで、電話してみました。
 電話口のPさんは打って変わった軽やかな声で、「よくぞ電話してくれたわ! したいと思いながらするタイミングに迷っていたの!」。

 聞くと、救急で飛び込んだお医者さんがすぐに心臓を調べてくれて、心臓の血管が危険なほど詰まっていることを見つけてくれて、すぐに手術になった、とのことでした。状態としては、狭心痛のない狭心症、だったようです。
 段階的にしていく予定の手術がまだあと少し途中で、〈完治! 退院!〉とはなっていないそうですが、電話越しにもお元気そうなのはありありとわかります。

 よかったわ〜、ホンマよかったわ〜と二人で言い合いながら、心臓かぁ……。なんで踏み込んで考えてみなかったのだろう……。
 「人間ドックも受けていたけど、それだけではわからなかったみたい」「大人になってから喘息になることは少ないんですって」とPさんが〈患者教室〉的なところで習われたことを私も又聞きで教わりながら、これじゃあイカンわ、と電話を切ってから改めて申し訳なさ・至らなさに落ち込みました。
 取り急ぎ、今後のために、内科の診断学的な本を何冊か勉強します。


200323 脊柱側弯症の原因

 3月12日の毎日新聞夕刊に、脊柱側弯症の原因について〈食習慣との明確な関係はない〉とする調査結果が出ていました。「私の出してきた食事のせいだろうか」と悩んでいたご家族には、少し明るい結果なのかもしれません。

 脊柱側弯症は、「背骨がねじれを伴いながら側方に曲がってしまう」状態で、「その80%前後は原因が分からない」と説明されます。そのために、食事? 生活習慣?と原因が探されるわけですが、近年では遺伝子に関連があるかも?という方向で調査されているようです。

 私は、すべての側弯症がそうではないにせよ、外傷が原因になっている場合がいくらかはあるだろうと想像しています。
 ごく幼い頃に、右側か左側の一方だけ、とくに耳や頭の周囲に深い傷を受けると、その傷痕は癒着として残り、筋肉のバランスに左右差が生じます。この左右差が全身の筋肉へと影響して、やがて、〈背骨を左右から引く力〉への左右差となり背骨の位置をよじらせてしまうのではないか、という想像です。

 側弯症の〈見つけ出し〉に熱心かどうかは地域によって差が大きいそうで、関西以外の地域から店に来られていたお客さんは、「私の地域では非常に熱心でしたが、少し離れて住む友人の地域では検査自体、されていなかったそうです」とおっしゃっていました。大阪の堺に住む私は、側弯の検査をされた記憶がありません(でも私が憶えていないだけかもしれません…)
 整体の仕事をしていると、ときどき「あれ?」と思うことはあって、「側弯症と言われたことがありますか?」と訊いてはみますが「ありません」と言われることが多いです。多少その傾向があっても診断されるほどではないということか、検査に熱心でない地区にお住まい・お育ちでそもそも問題にされなかったか、どちらかはわかりません。

 車の追突事故のように、左右両側に同等のケガをこうむった場合であれば側弯状態にはなりにくく、お客さんから言われることが多いのは「ストレートネックと診断されました」です。これはつまり背骨に前後のゆがみが生じているわけですが、〈前後のゆがみ〉に〈側弯症〉のような背骨全体のゆがみを指す名前はあるのでしょうか。私には思い当たりません。ちなみにストレートネック=まっすぐな首、です。
 もちろん、前後のゆがみを生じるようなケガに整体をする場合は、施術の仕方も側弯症にするのとはぜんぜん異なります。

 側弯症を取り巻く問題がとくに複雑になるのは、成長期をまたぐことで骨の形に影響が及び、たとえ筋肉のバランスが回復しても骨の形状変化がそれに追いつけるのかという現実が残ることです。
 ただ、形状変化が遅れるにはせよ身体や呼吸は楽になるそうで、そこが、施術を引き受ける私にとっての救いです。


200412 泌尿器系の困り事と頭・首・肩まわりの不具合

 泌尿器系の症状でお困りのお客さんが店に来られた場合、最初に状況をお聞きしていて注目するのは骨盤・股関節・足まわりの不具合です。ところが、施術が少し進むにつれて、頭・首・肩まわりの不具合が格段に重要さを増してくる、という経験をこれまでに何度かしています。

 膀胱は筋肉でできた風船で、伸びたり縮んだりの調子が悪くなると、落ち着いてじっくり溜めておけなくなったり、いざ出すときにきっちり出し切れなくなったり、ということが起こります。
 そして膀胱のすぐ近くには、背骨と足をつなぐ大きな筋肉が位置していますから、背骨と下半身との兼ね合いがまずくなると、その影響を膀胱がこうむる事態になりえます。
 と、そんなイメージを描いて施術に臨みますので、私の注意は背骨と足に向かいます。けれど、施術が進むと、頭・首・肩まわりの不具合(この場合は癒着)が問題になってくる。これが私にはおもしろいのです。

 たとえば先天性の股関節脱臼は、生前・出生時・生後すぐの頃に股関節が脱臼したものですが、私の想像では出生時に起こる確率が高いのだろうと思っていました。けれど、施術させてもらったお客さんの中には、股関節脱臼より根深い印象の〈肩まわり・頭まわりの癒着〉をお持ちのかたが少なくありません。とすると、胎児期にはへその緒がありますから、まず、へその緒で肩首まわりを傷めて、その癒着をかばって身体がアンバランスになっていたために、股関節脱臼が起こりやすくなっていた、のかもしれません。そうすると、施術をしながら、出生時以前からのつながりを想像していくことになります。

 肩などの脱臼では、一度起こすとその後も起こりやすくなる場合があって、「2度目以降は1度目ほどは痛くなかった」とお聞きすることがときどきあります。ですが、ごくまれに、「1度目もそれほど痛くなかった」と言われることがあります。
 関節の安定がしっかりしていると、それを脱臼させる力は強烈ですし、おそらく激痛でしょう。それがあまり痛くなかったのであれば、幼な過ぎて痛覚の発達が追いついていなかったか、関節の安定がそもそも弱かったのかもしれません。
 股関節脱臼の場合は、発見されるのは赤ちゃんの頃で、痛覚も言葉も、発達は追いついていませんから、この私の想像の答え合わせはもちろんできませんが、興味深いところです。

 ところで、泌尿器系の症状は、骨盤・股関節・足まわりに施術することでいくらかは改善していきます。けれどそこからもう一歩進んだ改善・消失を目指すためには、頭・首・肩まわりの癒着に対する施術が必要なのだと感じています。
 一見無関係な部分に施術をすることで症状が消えるというのは、まさに〈身体がひとつながりである〉ことの証明で、うまくいくと、実に気分がいい。なんとも気持ちのいい〈やった感〉に満たされます。


200509 ひねり動作に施術する

 気分転換の一環で、2週間ほど前から気が向いたときに野球のバットで素振りをしています。野球経験ゼロ、見様見真似のテキトー素振りで、4〜5回振ったら気が済んで中止、いたってやる気のない素振りです。ただ、私の利き手は右打ち(? 身体の右側でバットを構えてます)ですが、ついでなので左打ち(? 身体の左側で構える)も試していました。
 そんな仕方でしてみてわかったことは、右打ちは、見様見真似ですぐできたけれど、左打ちは考えないと打ち方がわからない。それでも何度かしていると勝手はわかってきたけれど、振り抜く瞬間にピッと身体が緊張して、右ほど自由には振り切れない。と、納得したところで、整体の出番です。

 太極拳の動きでは、身体を左右半身に縦割りして、その両半身がどう協調できるかがミソでした。フラでは、上下半身に横割りして、その両半身がどう協調できるかがミソでした。野球の素振りでは、全身のひねり動作がなめらかにつながるかどうかがミソだ、と、今回私は思いました。
 そして私の場合、右打ちひねりはそれなりにつながりが良いけれど、左打ちひねりはつながりが悪い、と。ここから何か問題があぶりだせそうです。

 そう期待してあちこち検査をしていると、左顔と右股関節から癒着が見つかりました。

 実は素振りを始める数日前には右顔の癒着が見つかっていて、右頬にごりごり施術をすると微妙にイビツだった鼻がまっすぐ落ち着いた、という経験をしていました。長くなるので詳しくは書きませんが、軟骨が伸びたのか? え、まさか?と目が点になるような劇的変化で、自分で鼻を触りながら笑いました。なので、新たに発覚した左顔の癒着については、右が済んだから左なのか?な気分です。
 また、右股関節については、もともと長らくギクシャクしていた上に、素振りでは、身体を大きくひねるときに、右足に体重が乗せきれていない感じも得ていましたので、なるほど、だから左手が振り切れなかったのか、と納得する部分もありました。
 結局のところ、左打ちが振り切れないのは、左顔のせいか右股関節のせいか。どちらが本当の、あるいは直接の原因かは私にはわかりません。でも連続して2つの癒着が見つかりましたので、両方とも施術することにしました。

 で、その翌日素振りをしてみると、前より振り回しやすくなっています。よしよし。さらに検査をしてみると、今度は頭頂部の左側から癒着が見つかりました。
 ここでもまた、左顔の続きで左頭の癒着が発覚(なぜなら顔と頭は位置が近い)、とも考えられるし、右股関節の安定が作用して左頭の癒着が発覚(なぜなら骨盤と頭は〈背骨〉の両端に位置する)、とも考えられます。やっぱり、どちらが直接の原因かはわかりません。が、それはこの際どっちでもいい。せっかく見つかったのだから、ともかく左頭の施術をしよう。

 この施術がうまくいけば、また素振りはうまくなるでしょう。そしてまた別の癒着が見つかるか、私が素振りに飽きるかします。癒着が見つかれば施術する、飽きたらまた、別の暇つぶしを探す。こうやってぐるぐる地球は回るんだね、の気分です。


200515 花粉症発症しました

 一昨日から花粉症が始まりました。例年挑戦中の〈整体で花粉症をなくそう〉計画はまたもや失敗に終わりました。

 やっぱり免疫系は難しい!
 免疫系のはたらきのミソは「これは敵だ」と覚えておいて、再度侵入してきたときには早々に攻撃を仕掛ける、なわけですが、減感作療法的な治療法を組み合わせるとかして〈免疫の再教育〉=「花粉は敵じゃないからね」を覚え直してもらう、といったことをしなければ、一度生じた〈花粉=敵〉の反応は消せないのかもしれません。

 新型コロナウイルスが終生免疫(=一度罹ったら一生、二度と罹らない。つまり時間が経っても免疫はその敵を忘れない、一生!)ではないかもしれないと言われている一方で、花粉症が終生免疫みたく毎年毎年・必ず・欠かさず起きてしまうのは腹立たしいことです。
 花粉は終生免疫ではないから、免疫が自然に忘れてしまうまでの数年間を、花粉への曝露を避け続けて生活すれば発症しなくなるかも、との可能性を以前聞いたことがありますが、〈私が発症しなくなる可能性〉は未知数ながら、〈私が花粉回避行動を実現できる可能性〉は限りなくゼロに近いので、残念ながら試せません。実験としては愉しそうだけれど、わずか2〜3週間のクシャミ・鼻水・目のかゆみのために、数年間どこかへ引っ越し/毎年1か月弱ほど短期宿泊するなんて、そこまでの手間をかけるヒマもお金も意欲もありません……。

 仕方がないのでまた、来年までにできる範囲で、あれこれ工夫してみます。


200520 冷えと体調不良

 数年ぶりのお客さん(Pさん)が来店されました。前回は首が痛くて回せなくなった、今回は背中が痛くて寝返りが打てなくなった、がご来店の理由です。

 数年前の記録を見返すと、その当時も私はPさんに対して〈元気ハツラツ、実に頑健〉という印象は得ていなかったようで、〈マイペースに生活していれば大崩れはせずに過ごせるでしょう〉という、ふつうに元気な人に対して抱く印象だったようです。整体でもっと身体を立て直せばもっと元気にはなるだろうけれど、そこそこ遠方にお住まいだし(店は大阪の南にあって、Pさんのご自宅は北側にある)そこまでの元気さを望んでおられないなら、続けての通院は不要です、と、首の痛みが取れた時点で〈卒業〉にしていました。
 なので、今回の背部痛も、たまたまストレッチをし過ぎたとかうっかり変な姿勢で無理をかけたとか、そういうことで一時的に傷めたのだろうと想像しながら、体調についての詳細をお聞きしていました。

 が、聞いているとどうも気持ちの悪い感じが残ります。Pさんの、それほど不元気ではないはずの〈元気さについての印象〉と、いま話されている〈今年初めから続くぐずぐずした体調の悪さ〉がぴたっとそぐわない。
 これはもしかすると、ものすごく深刻な状態なのかも……? 心配になってきたので、「今日の痛みはたぶん簡単に取れると思いますけど、根っこに大きな問題が隠れているのかも、という気もします。ちょっと覚悟してしばらく通ってもらうほうが良いのかもしれません」私が言うと、「そんなに悪いってことですか……」とPさん。「うーん、わかりませんけど。なんか、ちょっと気持ち悪い……」。ケガの記録と以前の施術内容を見返しながら頭をひねっていると、Pさんが、そういえばあれのせいかも、これのせいかも、と思い当たるフシをあれこれ挙げてくださいます。

 で、いくつか挙がった後に「近頃布団で寝ていない」とおっしゃるのを聞いて、「あ! それですわ!」納得しました。不気味に深刻な体調不良の原因は、冷えです。
 床暖房があろうと、ふかふかのカーペットがあろうと、布団を敷いていない、というのは決定的に身体を冷やします。睡眠中に必要なのは加温ではなく保温で、そして保温の効果を高めるためには保温材の適当な狭さが必要です。広いカーペットでは、熱が周りに逃げてしまって保温が利きません。

 ふだんはほとんど〈日常生活の助言〉的なことを言わない私ですが、このときばかりは「すぐに布団を買ってください。そして布団で寝てください」お願いして、「ネットで注文……」と言いかけるPさんに、「それじゃあ遅いです。ここからの帰りにコーナンかどこかに寄って買ってください」強硬に〈助言〉して、「理由がわかれば全然深刻じゃないです。毎晩毎晩寝ながら身体を冷やし続けたら、それくらいの体調不良は起こります」きっぱり言い切って、施術にかかりました。
 施術しながら、「身体が元気になってきたら、おそらく一時的にガタッと体調が悪くなるはずです。〈バイ菌を殺すために熱を上げたいのに体調が悪くて上げられない〉という状態から〈体調が良くなったから熱を上げよう〉という状態に移行するはずなので、今日明日から1週間くらいはしっかり風邪を引くものとして、そのつもりでひたすら布団で寝てください」と、今後の〈予定〉をお伝えしました。

 施術はふつうにうまくいって、ではお会計、となったときに「めちゃくちゃ寒気がしてきました」とPさん。おお、早速お元気になって風邪の諸症状を現わしてこられたのね、と嬉しい半面、ここからの帰りが遠いねえ……。
 こういった場合、とくに遠方からのお客さんには、帰りの体力が課題になります。


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