のぞみ整体院
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整体・身体観 20

150106 吉報

 新年あけましておめでとうございます。
 今年もどうぞ、よろしくおつきあいください。



 年末に女性のお客さん(=Pさん)からお電話をちょうだいしました。「妊娠しました!」のめでたい知らせです。
 電話のこちらで私は「よかったですねぇ」と返しながら、内心、かなりほっとしていました。

 初めて来られたときからわかっていて、またご本人にもお伝えしていたことですが、Pさんは、とても施術がしにくい方です。直接の来店動機は軽い腰痛ですが、根深い肩・首のこりがおありで、冷え性も気になっていて、もしかして妊娠しにくいかも? という状態です。

 ぱしっとめだつ強い症状はほとんどなく、運動的な趣味はおもちでない。つまり淡い虚弱体質はおありだけれど、いまより活発な生活をそれほど望まれているわけではない。
 こういった場合、症状の変化も生活の変化も小さいので、施術の目安に使える材料は少なくなります。要は、「前回の施術の後から、ここが痛くなった」「痛みがマシになった」、あるいは「走りにいったらここがおかしくなってきた」「走りやすくなった」、そういう情報がもらえないわけです。これで施術を組立てるのは、私にはとても頼りない(←私の都合!)

 症状が軽いわけですから、施術前に様子を聞いても「えーと、そういえば腰が痛かったかなあ……」くらいなもので、それがよくなったあるいは悪くなった実感は、施術が済んでも、あまりありません。
 また、頻繁に来てもらってもそれほどの急展開をおこせる自信が私にないので、頻度は、月に1度くらい、連続2時間(少々遠方のかたのため)ということでお願いしました。Pさんはきちんきちんとそのタイミングで来てくださるのだけれど、相変わらず、症状はおとなしく施術の効果は見えてきません……。

 この状況が続くと、お互いじりじりしてきます。こちらはこちらで頼りないし、変化が実感できないのに来てもらうのはどうも申し訳ないし、かといってPさんの体質が虚弱であることは疑いないから「もう元気になりましたよ!」と適当にいうこともできません。
 Pさんにしても、変化が実感できないのにこのまま整体を続けていていいんだろうか、なにか違う方法を考えはじめた方がいいんじゃないだろうか……と、不安というか不信というかがふくらんできます。結果、2人とも、口には出さないものの、「次の来店はあるのかしら……」と暗い空気になった矢先の、吉報でした。


 「よかったね!」という喜びより、「ああよかった、なんとかなった……」とぎりぎりセーフな思いでいっぱいだったのは、おそらくPさんもおなじで、ひやひやドキドキの5ヶ月でした――ってふりかえると、5ヶ月! それで状況を変えられたのなら、私にしては、そう悪い施術でもなかったように思うのですが、やはり、目安なしで続けたのが大きかったのでしょうか。なんだかとっても綱渡りな気分でした。


150207 足のゆびと、ふんばり。

 長く来られているお客さんで、精神的なふんばりの利きが、いまいちよくない方がおられます。

 施術を始めてから長いですので、さすがに全体的な体力は改善されています。体調も、平穏なときの状態はかなり安定してきています。けれどプレッシャーがかかるとすぐクタッとなって、ココゾというときの緊張に負けるとたちまち、睡眠が不安定になったり食欲が落ちたりされます。

 ご本人もその状況を自覚されていますので、それを話題にしては、「なぜでしょうねえ」「あと一歩、って感じですのにねえ」と2人で首を傾げていました。


 それがようやく、先日の施術で、変化の兆しが見えてきました。ご本人にも具体的な心当たりのない頑固な癒着が、右足の人指しゆびとその肉球部分からみつかったのです。
 足のゆびの先っちょの、ごくごく小さい部分ながら、かなり硬い固まりになっています。細い細い竹串(=エビ串)を使って相当集中的にがしがしがしがし施術をして、様子をみてもらうことにしました。

 で、その次のご来店です。
 顔つきが格段にしっかりされていて、「前回の施術後から、おしりと前側の太ももが痛くなりました」といわれます。この痛みは、まず間違いなく、姿勢が改善されたことによる筋肉痛。いい変化が起こっているな、と確信できる材料です。

 精神的なプレッシャーについては、たぶんまだそういう状況になっておられないので、ふんばりが利くかどうかの実地確認はできていません。ですが、この状態で改善のないはずはありません。余計なお世話ながら、早くちょっと試してみてほしいところです(?)


 「肚が据わる」とか「地に足が着かない」とか、身体を使った表現の的確さには、経験的に納得できる部分が多いと私は思っています。でも、「ふんばりの利き」と「足ゆびの状態」が関連するなんて、なんとも、できすぎたオチのような気分です。


150214 あごの傷と親知らずの抜歯痕

 1月末から2月初旬にかけて、前歯が痛くなりました。神経性のキーンとした痛みで、以前ずっこけて折ったところです。
 治療してくれた歯医者さんからは「また痛くなるかも」と言われていたので、「とうとうきたか?」と思いましたが行くのがイヤなので(怖いから。先生がじゃなく歯科治療全般が)、自力でなんとかできないものかしら、と施術してみることにしました。

 痛みは明らかに神経性のようです。が、歯とパテ(?)の継ぎ目がゆるんでいる気配はありません。そこで、「おそらくこれはパテのせいではない! 筋肉とか歯茎とかがなにかを圧迫しているのだ!」とむちゃくちゃ勝手に決めつけて、自分を励ましながら、作業に取りかかります。自分でなんとかできなければ歯医者さんに行くしかないので、いつになく必死です。

 で、1週間ほどあちこちいじくっていると、移動しながら軽くなりつつあった痛みはほぼ治まり、とくに問題を感じなくなりました。あーよかった、と安心しつつ、ついでにそのまわりも施術しとくか、と、そんな気になりました。歯茎とかあごの裏といった部分は、ふだんは触らないところです。


 そうして、施術が展開してきたのが右下親知らずの抜歯痕と下あごのケガの痕です。抜歯痕のほうは以前にも施術したことがあって初めてではないのですが、今回の施術は歯茎の表面部分ではなく下あご側の土台部分です。
 一方、下あごのケガは子どもの頃、自転車でずっこけてできたもので、覚えているだけで3度、下あご先端を強打・出血させています。こちらも皮膚側から施術したことはありますが、口の中側から本格的に施術するのは初めてです。

 施術したのは一昨日の昼休みで、なかなかおもしろい施術でした。
 その日の晩、寝ていると夜中にふと目覚め、両足をぎゅっと曲げたくなりました。いわゆる足で「ぐー」をつくる要領です。これをすると、いつもの私なら右足裏だけ猛烈につりはじめるのですが、つらなくなっています。なめらかに握りこめます。

 動かしてみて感じるかぎりでは、やわらかくなったのは右足の中3本のゆびです。「すごいなあ、親知らず抜歯痕と足のゆび中3本かあ……」と思いながらまたすぐ寝ましたが、朝起きると、眉間の皮膚がぼろぼろにむけていました。
 「親知らず抜歯痕に施術したら足のゆびがやわらかくなった」よりは「下あご⇒眉間の皮膚」のほうが連鎖としてわかりやすいし、しかも今後代謝がよくなることを思えばありがたいわけですが、目立つところのかなり激しいぼろぼろむけには、ちょっとびっくりしました。


150218 あごの傷と親知らずの抜歯痕・追記

 「親知らず抜歯痕に施術したら足のゆびがやわらかくなった(150214)」についての追記です。

 後日、私が持っている中でいちばんこまかく経絡図が描かれた本『臓腑経絡学』(藤本蓮風監修 アルテミシア 2003年)を調べてみたら、下あごと足のゆび中3本は見事につながっていました。胃経でした。

 ちなみにそれ以外の手持ちの経絡図3種では、足の人指しゆび(2趾)だけが胃経とつながっていました。しかもそのうちの2種では爪の小ゆび寄りにツボがあり、1種は親ゆび寄りでした。微妙な違いがおもしろいですが、まあそのあたり、ということなのでしょう。


 整体をしていて、ある部分への施術がうまくいってべつの部分に変化がおきる、というのはふつうによくあることです。そしてその連鎖した2点がおなじ経絡でつながっているのは、ほぼ確実といってもいいくらい、よくあることです。

 経絡、さすがやなあ! と心底、感心して好きなのですが、とうとう私には、経絡の連鎖をあらかじめ計算して織り込んで、施術を組み立ててゆくことはできませんでした。かなりあれこれがんばってみて、結局数年前にあきらめたのですが、そのときは、思うように経絡を使いこなせない自分が、とても悲しかったです。


150220 新しい技術

 B先生のところに2年、C先生のところに1年弱、と、それぞれ勉強させていただきにお邪魔してきましたが、そろそろここらで、蓄積した“財産”をもとに新しい自分なりの技術を組み上げなきゃなあ、組み上げたいなあ、という気持ちになってきました。

 これまでの経験でもそうですが、蓄積する期間はひたすらぼけ―…っと蓄積して、よしッとなったらダダダッと一気に組み上げる(というか勢いで組み上がってしまう)のが私のパターンです。
 今回もわりとそんな感じになりかけていて、「ああ、この手順でできるかもしれないなあ」と思いついたその当日だったか翌日だったかには“実験”に協力していただけそうなお客さんが店に来られて(偶然!)、協力をお願いしたら快く引き受けていただけて(ありがとうございます)、その翌日から私は参考資料の収集と乱読に明け暮れて、頼りないところはB先生とC先生に相談させていただいて、……とこんな感じでみるみる手順はまとめあがってしまいました。期間にして数日のことです。

 おもしろいのは、手順がまとまるとたいてい資料は途端に要らなくなることで、先行して出しまくった図書館への予約はすっかり後手に回りました。大事なことが拾えるかもしれないので一応目は通しますが、それよりもう、いまは、実際に使いながら精度を高めていくことの方に興味が集中してしまっています。


 新しい技術をつくって使うときにはいつも、必ずむちゃくちゃ緊張します。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、お客さんと私のあいだに、ある種、「お互い命がけ!」みたいな空気が流れます。
 それでも技術をつくりたいと思うのは、やっぱりなにかしら、いまの私の技術ではどうにもできないことがあるからで、いま試している新技も、なんとかしてそこをどうにかよくしたいと願ってつくったものです。

 今回の技術のもとになっているのは、B先生にさせていただいた経験と、C先生の使われる技術、そしてお二人が過ごされる仕事場の全体です。職人の孝行というものが、師匠の技の本質を的確に自分なりに盗みきることであるなら、せめてものご恩返しに今回の新技、なんとか形になってほしいです。


150309 慣れ

 新しい技術の内容を、どうやって紹介しようかなあ……とあれこれ模索しているうちに、私の感覚のほうが、あっさり新技術に慣れてしまいました(…)

 しかも慣れるだけでなく、以前からの技術となんだかうまい感じに融合しつつあって、新技術/旧技術とかいう区分そのものが適度にあいまいになってきました。
 完全に融合するとこれまた不都合そうなので、いまの状況が理想的です。

 新技術を使いはじめてから3週間弱ですから、私にしてはずいぶん早い慣れッぷりです。まあまあいいことだと思います。

 ただ、技術としては革新的な向上が起こったはずなのに(しかも質的にきわめて大事な向上だったはずなのに)、やけに短い感激期間だったのが妙に残念です。もうちょっとじわじわ感激できていてもよかったのですが、なぜ、こんなにすぐに落ちついたのでしょう……。


150318 皮膚のこりをゆるめる

 新しい技術でしていることが、ようやくわかってきました。どうやら、皮膚のこりをほどいているようです。
 皮膚のこりは、感触としてはいわゆる“固太り”の塊とおなじです。ですが体型的な、太っている/痩せているとは関係しませんので、やはり“皮膚のこり”と表現するほうが適当です。

 これまでにも、皮膚に施術はしていました。けれどどちらかというと筋肉をほどく“ついで”のような感じで、集中的に皮膚だけをゆるめにかかったことは、ほとんどありません。また、ゆるめる必要もとくに感じていませんでした。

 固太りみたくカチコチに締まりきった塊は、皮膚といっても厚みがあります。しかも筋肉ではそれなりにわかる線維の方向(のようなもの)が私には感じとれません。ですからゆるめ方は、皮膚独特。筋肉のこりにするのとは異なります。

 また、筋肉・骨関係の癒着がケガの傷痕の周囲にできるのにくらべて、皮膚の癒着(こり)はもっと広範囲に生じます。予測不能な、「なぜここに?」というような意外なところからも、皮膚のこりはみつかるのです。

 ですから手順としては、実際の傷痕にはこだわらずに、最初の視診であたりをつけたところから場当たり的に、どんどんゆるめていくのがよいようです。おもしろいことに、視診での“見つけ方”も、筋肉のこりと皮膚のこりとではちがっています。




 10年ほど前、AK(アプライド・キネシオロジー。カイロプラクティックの一流派)のセミナーに出ているときに、当時のお師匠さんがおっしゃいました。
 「みつかる問題から順番にとっていけばいいんだよー」。なんとも底抜けの軽さというか明るさでおっしゃるので、筋力検査を使いはじめてすぐのキマジメだった私は、「そんないいかげんなことでいいのか?」と少々不信に思いました。

 そしてそのときの不信感が、「自分の技術を理論化したい! 説明を聞いて練習しさえすれば誰でも使える、そんな技術にしたい!」との思いになっていました。
 が、このところその熱意が、ちょっとしぼんでいます。視診も含め、いま使っている技術はかなり説明しにくいのです。直感ですすめる部分が多すぎて、理論化するのも難しそうです。初心のころは不信に思えたお師匠の言葉が、いまになってやっと、じつは正しかったのかもしれない、と思えてきました。


150411 不安解消

 新しい技術を使うようになって1ヵ月半ほどがたちました。おおむね、順調なすべり出しで満足しています。――が、ひとつだけ、どうにも気になっていたのが、「新しい技術(150220)」に書いたお客さん(Pさん)のことです。

 Pさんには、新しい技術の“最初の実験台”の役目を買っていただいた際、「状態が悪ければ早めに来てください。状態が良ければ、いつでもいいです。また悪くなった頃に来てください」とお願いしていました。が、それっきり、待てども待てども来られないのです。

 こんなとき、「便りがないのは良い便り」と、どーんと構えられないのが私の情けないところで、「いつものPさんならそろそろ状態が崩れる時期なのだけれど……?」とか思いはじめると、にわかにヤキモキ・おろおろなってきて、「ひょっとして致命的な悪化が生じて、整体に来るのがイヤになってしまわれたのだろうか」「まさか連絡ができないくらいに状態がお悪いのだろうか」などと最悪の事態ばかり想像してしまいます。

 そんなにおろおろするくらいなら、最初から、「今回は新しい施術をしましたから、状態が良くても1週間後に来てください」とかせめて「1度お電話ください」とか言っておけばいいのに……、と後悔するのですが後の祭り。
 ああどうしよう、どうしよう、こちらから連絡してみようかしら、と、いよいよ思いつめたそのときに、Pさんから、明るい声で電話をちょうだいしました。

 で、お会いしてうかがうと、状態はすこぶる良かった、整体に来る必要がなかった、とのことです。大安心です。ただ、Pさんと私が期待していたいちばんの変化は得られなかったそうですので、そこはくやしいところです。

 とはいえ、新しい技術(=皮膚のこりをほどく)での施術はまだ始めたばかりですし、Pさんにはより新しい技術(=完全版・皮膚のこりをほどく)での施術は今回がはじめてです。まだまだ作業はこれからです。次回、次々回に期待します。


150901 施術の感想

 ふつうに「整体」と聞いてイメージされるのとは少々ちがった整体をしているせいで、初めて受けられた方から驚かれることがあります。
 たいていは「ふしぎですねえ!」的な感想をいただくことが多いのですが、先日、あるお客さんから「2日ほど、頭のなかが揉み返し(!)みたいになっていました」と言われました。

 聞いた瞬間、「なんて素敵な表現!」と感激していたら、「2日でその感じはなくなって、あとはスッキリ楽になったので、ほっとしました。いつまでも続くならどうしよう、と思っていましたので」とのことでした。

 揉み返し、だけあって快適な状態ではなかったようです。
 けれど、施術がうまくいって筋肉のバランスが変化して、身体の使い方を変えるために脳があれこれはたらいて、という状態はおそらく、頭のなかがざわざわざわざわ落ちつかないだろう感じで、それを「揉み返し」と呼ぶのはうまいなあ……とおもしろかったです。


151208 へそ施術

 少し前のことになりますが、10月30日から“へそ”への施術を始めました。効果というか、なにに効くのかはまだよく分かりません。とりあえず現時点では内臓関係の不調(便秘とか胃部不快感)に変化がみられたとおっしゃるお客さんが複数いらしたことと、それよりたくさんの場合で、行きづまり気味だった施術が大きく展開したことが確認できています。

 私の場合、新しい技術がうまれるのはわりと偶然まかせです。できて初めて、「これこれの施術ができるようになった! ヤッター!」となるのですが、今回のへそについてはめずらしく、理屈から考えて施術を試みました。生後間近いころに、へそには癒着ができているはず、という理屈です。これまでの感じでは、難産で生まれたか安産だったかはあまり関係がないようです。

 理屈からいえば、へその施術はだれにでも(ほ乳類全員!)必要なはずです。けれど実際に検査をしてみると、すぐに施術ができる人と、さしあたり施術の必要がない(=検査に反応しないから、いまは施術できない)人とがいるようです。いちど調べて施術ができなくても、べつのときに検査をすると施術できたりするので、単純に施術手順の都合によるのかもしれません。
 手応えは大きいけれどまだまだ未知な、おもしろい施術です。


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