のぞみ整体院
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整体・身体観 17

130115 親知らず抜歯痕への施術

 年末から年始にかけて、右下親知らずの抜歯痕に施術ができました。

 自分の身体に施術し続けて、早や数年。実感として、状態がかなり落ち着いてきている手応えはあります。以前に比べ、不自然な力(りき)みや緊張ははるかに減ってきているし、小学生の頃からあった偏頭痛も近頃さっぱり起こらない、気分の波もずいぶん穏やかになっていると感じます。
 が、このところもう一歩、次の施術が展開しない感じがあります。何だろうなあ、どこに施術が要るのかなあ……。ぼんやり考えていた矢先に、歯茎から反応が出てきました。

 キリでは奥歯まで届かないかも、と考え、爪楊枝で試すと――良い感じです。上の歯と下の歯の境目にある奥のカベの部分をごりごり施術していると、右肩の力がスッと抜けました。下あごの位置が、良い具合に収まったような感じです。


 親知らずを抜いたのは10年以上前、まだ整体の仕事はしていない頃のことです。生え方が悪く、やたらに巨大で、虫歯にでもなったらかなわないなあと思って自分から歯医者に行ったのでした。
 なのに、抜いてもらった直後、ぼかっと寂しくなった歯茎を見た瞬間に、猛烈に後悔が湧いてきました。

 その後、抜歯痕がふさがるにつれて、それっきり、その寂しい感じと猛烈な後悔の迫力は忘れていました。
 ですが今回施術をしている最中にそんなあれこれが思い出され、施術が一段落するとともに、その感じが落ち着きました。どうやら、抜歯痕に、自分なりの後始末がつけられたようです。


130209 施術手順と“咳”警報器

 少し前のことになりますが、あるお客さん(Pさん)に施術をしているとやたらに咳が出る、ということがありました。咳をするのは私です。
 風邪引きでなく、花粉症でなく、他のお客さんのときに出ることもありません。Pさんに施術を始めたときだけ、とたんにゲホゲホむせ返るのです。

 そのときに施術していたのは顔の古傷で、むせながらはできない作業です。
 とりあえず別の場所から施術しよう。そう考えて、顔の施術は後回しにして違うところから施術しかけると、ぴたりと咳がやみます。

 おや止まった、と思って、試しにもう一度、顔に施術しかけると、またもやゲホゲホゲホ。
 うーむ、Pさんの使うシャンプーか何かでアレルギーでも出るのだろうか? 首を傾げながら別の場所に取り掛かると、またもやぴたりとやみます。――おもしろいなあ。

 訳は分からないまま感心し、まあでもともかくは顔以外の部分から施術しよう、咳のことは後で考えよう、と思って検査を続けていると、手から、とても大事な古傷が見つかりました。

 この古傷は、それまでPさんから聞かされておらず、また私がPさんに確認もせずに勝手にほくろと思い込んでいたアザでした。それが、実は施術が必要な、そして施術し残していた古傷だったと分かったのです。
 ああ、この古傷に施術しなきゃダメだったのか! そう納得して施術をすると、それ以降は、顔に施術をしても咳き込まなくなりました。




 この経験から、鉄則を得ました。「ある部分に施術をして私に咳が出るようなら、それは施術の順番間違い。あっさりその部分は後回しにして、先に別の問題を探せ」、です。
 なぜ咳が出るのか、それはさっぱり分かりません。でもこのはたらきは便利だから、警報器代わりに使ってみよう、ということです。

 注意して見ていると他のお客さんのときでも咳き込むことはときどきあって、その場合もやっぱり、別の部分から施術を始めると見事に咳が止まります。
 この話を別のお客さんにすると、「オカルトやん!」と笑われました。まあ私も、なにが何だか分かっていないのだから、ある意味オカルトです。でもやっぱり便利で、実際、咳の意味が分かるようになってから、施術がはかどっているのも確かです。ということで、私にはありがたいオカルトなのでした。


130217 手にまつわる症状、3例。

@Pさんの場合
 「昨日こけて右手をついてから、手首が痛くなりました」。転倒した翌日、Pさんが来られました。手を強く握りしめたり、手首をひねったりすると、痛みが増す、とのことです。

 こけたときの状況をよく聞いて、そのときの力の掛かり方をしっかりイメージした上で検査を始めてみると、問題は右手首ではなく、右腕の付け根から見つかりました。どうやら、地面に着いた手首から衝撃が上方に伝わり、肩関節に傷ができていたようです。

 そう解説しながら右肩に施術をして、一段落したところでPさんに痛みを確認してもらうと、めでたく改善していました。
 動かすうちにまた少し痛くなるかもしれませんが、まあだいたいは大丈夫でしょう。そう言って、あとはしっかり様子を見ておいてもらうようお願いして、それで終わり。結局手首にはほとんど施術せずに済みました。



AQさんの場合
 ここ数年、左腕がだるいのがQさんの主な症状でした。ひどくなると、左足にまでだるさが広がります。
 ところがその原因はというとどうやら左足にあるようで、ここしばらくはかなり集中的に、左足に施術していました。

 ――にもかかわらず、事態は大きく好転しません。
 もちろん、施術をする都度小さくは好転します。けれど整体としてそれだけではおもしろくない、もうそろそろ大きな展開があっても良いのだけれどなあ。私がじりじりしていると、施術より先に、Qさんの症状に大きな変化が現れました。
 右の歯茎が、腫れて痛みだしたのです。

 これまでは腫れることはあっても専ら左で、右は珍しい、けれど虫歯ではないらしい。そう判断されて、Qさんが整体に来られました。確かに右歯茎が腫れるのはQさんには珍しいことです。
 施術を受ける度に状態が悪化するような、悪化してはまた鎮まるような混乱を数回くりかえしての、ひと月後。事態が鎮まりかけた頃にようやく、施術に良い手応えがありました。右腕への施術でした。

 Qさんとのお付き合いは長く(ありがとうございます)、これまでにも緊急的に腫れを引かせたことはありました。が、ここまで大変だったのは初めてです。
 そしてまた、Qさんの右腕に今回ほどうまく施術できたのも、ここ最近では珍しいことでした。いつからか、問題を見つけて施術にかかってもうまく改善できないことが多く、右腕に手出しするタイミングを私はずうっと探っていたのです。
 けれどようやく、うまい施術ができました。しかも、「左手の症状で右手に施術」。私のお気に入りの展開に、Qさんの状態も入ってこられたようです。ここまで来れば後は少し、の気分です。



BRさんの場合
 Rさんは一昨年末頃から右肩の激痛にお困りです。病院での診断は四十肩・五十肩。痛くて腕が挙げられない、典型的な状態です。

 「痛いからっておとなしくだけしているのはイヤ!」という活動的なRさんですので、趣味の運動はそのまま続けてもらっていました。できない動きだけをその都度加減してもらう仕方です。

 肩について、1年ちょっとの成績をいうと、施術をして、良くなったり悪くなったり。趣味の運動をされて、良くなったり悪くなったり。結果的に、なかなかスカッとした改善は得られなかったのですが、ここにきて、がらりと変化が起きました。左足の、肉離れの痕に施術が及んでからです。

 四十肩・五十肩には、「1年半から2年、痛みに耐え抜けば何も治療をしなくても痛みがなくなる、自然に治る」という意見があります。Rさんも私も、たまたまそれを耳にしたことがあったので、「この肩も1年経ったから良くなっているだけだろうか」。
 そしてまた、Rさんは私の施術の仕方もよくご存じなので、「左足の傷痕が原因で、どこにどう作用すれば右肩に症状が出るのだろうか」。
 施術中、いっしょにあれこれ相談(? 検討?)し合っています。が、どれもよく分かりません。

 症状がいよいよ快方に向かってきたこの頃は、まあ、理屈はどうでもいいかぁ、けっこうちゃんと動くようになっているし。と、結果オーライな雰囲気になってきました。
 考えてもよく分からないなぞなぞなので、ポイと投げ出すには良い時機です。



 以上、最近動きのあった、手の症状への施術、3例でした。


130220 兄弟の顔

 小学生のお客さん、Pさんの、施術が一段落しました。
 いちばんの症状が落ち着いて、さしあたり施術すべき問題は見つからず、かなり良い具合だと思います。

 付き添いで来てくれていたお母さんに、あれこれ説明した後で、「もうしばらくは来てもらわなくて良いんじゃないかと思います」と告げると、ちょっとこっちが面食らうくらいの勢いで、喜んでくださいました。嬉しいことです。


 Pさんのことで印象的だったのは、顔つきの変化です。
 Pさんには、1つか2つ年の離れた、同性のご兄弟がいらっしゃいます。いっしょにいるところを何度か見ていますが、これまで私はこのお2人を、「似ている」とは思いませんでした。

 それが最後の施術の日、ぱっと店に来られたPさんが、兄弟のあの子だったかと思い違うくらい、そっくりに見えました。
 お母さんにその印象を言うと、「私はいつも見ているからよく分からない」と、あっさり返されましたが(そりゃそうだ)


 身体の状態が良くなると顔つきが穏やかになる、というのは整体をしているとふつうに経験することです。ですが、似て見えなかった兄弟が似て見えるようになる、というのは珍しいことでした。

 Pさんの顔を見ていると、穏やかでやさしい顔になったな、とつい“より良くなった”かのように思ってしまいます。けれど本当のところは、これでやっと本来の顔に戻っただけのことです。
 これまでが、顔つきが変わるくらい、しんどい身体だったのだ、とそこを意識すると、まだ子どもなのに大変だったなあと、印象が大きく変わります。


130310 竹串整体

 とうとう竹串まで施術に使うようになってしまいました。といっても顔、頭、耳・鼻の穴、口の中、手足先の細かい施術に限った使用ですが。

 キリに比べて強度は確実に落ちるので、強い施術には使えません。けれどキリにはない大きな利点が竹串にはあって、鉄ではない分、皮膚の上で滑らないのです。竹・木に顕著なこの性質が、浅い部分の繊細な作業にはぴったりなことが、使ってみて分かりました。

 「このごろ竹串を使ってるねん」と母に言うと、「とんかつ屋か」と呆れられましたが(それを言うなら焼き鳥屋では? まあ串かつ屋でも良いけど)、大工道具の次は調理用具。
 専門器具の製造が不可能な零細職人としては、ありあわせのもので工夫するしかないのです(でもそれが楽しい)。

 「いつか偉くなったら特注のキリでも作ってもらったらどうですか」とはお客さんからの冷やかし。ええ、ええ、いつかそうしますよ、と私。


130316 激しい腰痛、頭の古傷。

 偶然にも、かなり深刻な部類に入るぎっくり腰系症状のお客さんを2人、立て続けにみせてもらう機会がありました。


 先に来られたPさんは、初めて施術した方です。慢性的に不安のあった腰が歯磨き中に憎悪し、左足のしびれが出現。立てなくなりました。
 店に来られたのは発症の2日後ですが、店内でも、座っての質問には耐えられないので、寝転んだまま。来院時は腰よりも足のしびれが苦痛なようでした。
 前日に行った病院ではMRIを撮られ、ヘルニアはあるけれど詳しいことは後日の再診断で専門医に診てもらってから、と、痛み止めをいくつかもらって帰宅したとのことでした。

 Pさんの場合、原因になっていたのは後頭部の癒着でした。幼少時のケガによるものです。
 横向きの姿勢のまま、あたかも頭の皮を剥ぐかのように、ごりごり癒着を剥がしていくと、その日の内に症状はやや改善。翌日もう一度来てもらって、引き続きごりごりごり。それで、施術は一段落しました。

 後でお訊きすると翌日一日は仕事を休み、その次の日からはふつうに出勤。残っていたしびれも、徐々に薄らいできている、とのことでした。(しびれが完全になくなったかどうかは聞きませんでしたが、さらに後日、車で遠出ができたくらいは回復したそうなので、まあ大丈夫なのでしょう。)




 ちょうどその頃、Pさんと入れ替わるようにぎっくり腰になられたのがQさんでした。
 Qさんは、以前から長く来てくださっているお客さんです。これは正直、堪えます。整体に来てもらいながらぎっくり腰をさせるとは! と、自分の不手際にムカムカしつつの施術になりました。

 で、施術を始めてみると、左手人差し指にあった古い傷痕が原因のようです。そこで集中的に人差し指に施術して、時間の許す限りその関連部分にも施術して、これで大丈夫かな、と思えたところでその日の施術を切りにしました。

 が、「まだ完全ではない、というか痛みの場所が腰から左股関節に移って、しかも範囲が広がったような気がする」とお電話をちょうだいしたのはその翌日です。「どうしたら良いですか?」と訊かれるので、「来てもらって損はないと思います」と言い切って、その日も来院していただくことになりました。

 みると、昨日の作業の続き以外に、新たに、頭の付け根部分からも手応えの良い反応が拾えました。

 そこで私が予測したのが、これはもしかすると、手の傷と、頭・首の傷、2つの傷が複合して起こった、ちょっと根の深い腰痛なのかもしれない……。
 それでその予測をQさんにお伝えし、連日のことで申し訳ないけれど、近い内にまた来てもらうことになるかもしれません、とお願いしました。

 その3日後。状況は微妙に変化しながらも腰痛は依然続いている、とQさんが来院されました。
 施術は予測通り、頭の付け根から始まります。前回に引き続き、今回もかなり手応えはありました。が、まだ明らかに取り残しはあります。もう少し、時間が掛かりそうです。

 ということでさらにその3日後。かなり軽くなっている、けれど確かにどこかの角度でまだ痛いときがある、と来院されました。
 続きの施術で頭の付け根を整えて、それでようやく一段落にできました。


 改善できてほっとして、振り返って見れば、「激しい腰痛の原因は、頭の古傷」。私の施術の典型的な2例だったのでした。
 Pさん、Qさん、どうもお疲れさまでした。


130325 竹串整体、その後。

 3月10日のブログ(130310)で、

 とうとう竹串まで施術に使うようになってしまいました。といっても顔、頭(以下略)の細かい施術に限った使用ですが。

とか言っていた私ですが、それもつかの間、1か月経たないうちに、ほぼ竹串のみの施術に落ち着いてしまいました。手、足、胴体。大抵のことは竹串だけで済ませます。いやー、竹串、便利です。

 キリだけを使っていたときはその鋭さに、「これは凶器なのだから慎重にしなければ」とビクビクしていたものですが、竹串が主道具になってからはあっさり対応が変わり、早くももう、粗雑すぎてキリは使えません。腰とかの分厚い筋肉をざっくりゆるめるときに、ちょこちょこ使う程度です。
 今の私にとってキリはもう、ノートにマジック、どころかノートに特大筆で字を書くような気分です。いくらなんでもこれじゃきれいに書けないよ、というような。慣れというのは恐ろしいものです。

 お客さんからは「(飛行機での)持ち運びに便利ですね」と好評です。確かにキリと違い、竹串なら手荷物で運べそうです。といってもこの便利、店の中で使う分には全然関係ないのですが。


130405 3ヶ月ぶりのお客さん

 昨年末B先生に紹介されて来られたお客さんのPさんは、原因不明の足の激痛にお悩みでした。

 痛いのは足のゆび1本だけなのですが、その痛み方がめちゃくちゃにひどい。痛い期間がかなり長期にわたるので、店に来られた時には既にいろいろな治療は試されていました。
 でもそのどれでもあまり良くなっていないので、ということは逆にいうと、私の仕方で効果の得られる可能性がひょっとするとあるのじゃないか――、と、そんな背景で店に来られました。

 最初の1、2回は、ともかく状態の把握です。手をつけやすいところから施術しつつ、ひたすら痛みの具合を聞いて、全体の様子をうかがいます。で、そうするうち、奇跡的にも3回目(2回目から2時間続けて施術しているので、時間で言うと4−5時間目)の施術のときに、痛みの原因がほぼ了解できました。
 そこでそれをPさんに説明して、やったぁ! これで良くなるよッ! と一緒に喜んだのもつかの間、それきりぱたりとPさんは来られなくなりました。

 驚いたのは私とB先生で、お会いする度、Pさん、どうされたんでしょうねぇと私はひとり反省会、B先生はその横で気掛かりに思いつつ首をひねる、という状態でした。

 それが先日、3ヶ月ぶりにPさんが店に来られたのです。びっくりするやら嬉しいやらで、「なんでこんなに間が開いたのですか!」と尋ねると、一大決心でかねて思案のことに取り組んでいた、と至ってさっぱりしたご様子です。
 「足の痛みはッ?」勢い込んで私が聞くと「そういえば楽」とPさん。心配していた分、なんだそりゃ、お元気だったのか、と呆れはするものの、まあとりあえずは良かったね、ということになりました。


 結果的に、Pさんの痛みの原因は了解していた通りだったようで、3ヶ月ぶりの施術も順調、次回の来院はもっと先のことで良さそうです。整体屋的にはこの気掛かりがさっぱりして、肩の荷が下りました。


130524 店内配布資料を作ってみました

 店に来てくれたお客さんに、「うちの店ではこんなことを考えて整体しています」と説明するような、紹介するような、そんなちょっとした資料を作りたいなあ、と思い始めたのはわりと最近のことです。

 そのちょっと前には、「もう一冊本を書けば?」と言ってくれる人があったのを良いことに、軽い気持ちで、“執筆の海”にバシャンと飛び込んで、案の定たちまちワタワタと溺れかけて、「イカン、無理は止めよう」とまた引き上げて、でも、なんだか何かは作りたい気分なのだけれどなあ、と、未練がましくうろうろする。そんな煮え切らない動きをしていました。


 とりあえず冷静に考えて、いまの私の文章力・体力に本は無理→パンフレットみたいな冊子を印刷するか?→いやいやもっと短い、ちょっとしたお手紙みたいなのにしようか……と、計画縮小を重ねた挙句、ようやく落ち着いたのが、A4を3枚束ねた“店頭配布資料”です。
 まあいまの私にはこれくらいが分相応か、と納得しています。いずれは、書き直すかもしれませんが。


 と、そんなことを考えながら、5月中旬頃からぽつぽつ手渡ししていると、ひとりのお客さんから、「これには続きがあるのですか?」と聞かれました。
 ――続き。そんなこと考えてもみませんでしたが、それは良い案かもしれません。ほぼ日刊、は確実に無理として、ほぼ隔月刊、あるいは季刊くらいで続きが出せれば良いかも、と思います。嬉しい助言をいただいてしまいました。


130607 今年の花粉症

 5月18日から例年通り、私の花粉症が始まりました。いつもなら勇んで、「打倒、花粉症!」と整体で立ち向かうところですが、今年は、“是が非でも症状を抑えなければならない場面”があるかもしれなかった事情から、早々に薬を使うことにしました。

 が、なんせ、花粉症で薬を飲むのは数年ぶり。しかも以前使っていた薬は名前を知らないので(忘れる以前に知らない)、何を買えば良いのか分かりません。どんな箱だっけなあ、とぼんやり考えながら薬屋に行くと、そこで初めて小青龍湯が花粉症に効くことを知りました。
 あ、これなら家にあるわ。帰って探すと案の定、使用期限のとっくに切れたカネボウ(現クラシエ!)時代の小青龍湯が4包と、ついでにカネボウ時代の葛根湯がほぼ新品で見つかりました。

 小青龍湯は、服んでみるとよく効きます。よし、今年はこれでしのごう、と思って新しい薬を買い足すと、そちらの薬は、なんだか効き目がシャキッとしません。同じクラシエのものなのになあ、とやや不満に思っているうち、梅雨に入り、薬は服まなくなり、晴れの日が続いて症状が出ても薬に手は伸びず、そうこうするうち、“是が非でも症状を抑えなければならない場面”の当日が訪れましたが、現場に薬を持っていくのを忘れ、しかも症状は出ませんでした。

 これなら別に、最初から薬を服む必要などなかったのでは……? 自分でも釈然としないまま、今年の花粉症シーズンは終わりを迎えつつあります。


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