のぞみ整体院
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日常 18

221011 施術用ベッドの張り替え

 施術用ベッドのビニールレザーを、とうとう張り替えてもらうことにしました。
 私が使っているベッド(正しくはテーブル)は、ATHLEGEN(あするじぇん、と呼んでいますが読み方が合っているかは自信なし)社の携帯ベッドで、オーストラリア製です。お師匠さんがセミナー時に使用されていて惚れ込んだベッドなのですが、日本語でやり取りできる窓口を知りません。
 というわけで、日本国内、しかもできればなるべく近所で、張り替えを引き受けてくれるお店を探すことにしました。

 まずはネットで何軒かチェックして、6軒ほどに絞り込んだところでいったん電話で問い合わせ。――と思ったら、1軒目で大当たりでした。事務的・マニュアル的な対話は全部すっ飛ばして、いきなり技術・段取りの話に入ってくれるのが実に私好み。あ、ここにお願いしよう、と思ったものの、さすがに1軒目の直感だけでパッと決めて良いのか??と考えると心配になったので、残りの5軒にも電話してみました。が、結果は変わりませんでした。
 で、再度電話して依頼すると、「いま立て込んでいてすぐに作業は無理だから搬入は後のことにして、ベッドの写真と寸法を持参して生地・色を選びに来てください」とのこと。「あ、じゃあ今日行きます」と私。

 張り替えベッド不在の間に使用する補欠ベッド(ちょっと小さいATHLEGENの携帯ベッド)を店に運び込み、そのついでに写真を撮って寸法計って、張り替え屋さんに到着。初めて対面した店長というか大将は電話での印象通り感じの良い職人さんで、よし、この人にならお願いしたい!の意を強くしました。

 色見本を見せてくれて「何色が良いですか?」と訊かれましたが、これには逆に私から質問「こちらでいま在庫しているのは何色がありますか?」。実際にベッドを使っていての経験から気付いたことは、〈絶対ダメな色〉以外なら、私は結構何でも良いらしい。そもそも店のコンセプト的なこだわりはないし、大抵の色なら使っているうちに慣れてくる。いま使っている水色のベッドだって補欠ベッドの濃緑だって、最初に梱包を開けたときにはちょっとギョッとしたけれど、すぐに、これはこれとなりました。たぶんうちのお客さん方もベッドの色なんてどうでも良いと思っておられるはずなので、極端に色が変わっても、まあ大抵問題なし 。
 というわけで、真っ赤・真っ黒・真っ黄色以外ならとりあえず何でも、の条件で探してもらい、薄緑と茶色が候補に残ってからは、「汚れが目立たないのはどっち?」「加工がしやすい生地はどっち?」と極めて実際的な選択の結果、茶色になりました。

 まだしばらくはいまのベッドを使い続け、やがて一時的に補欠ベッドを使い、それからようやく、レザーを張り替えて帰ってきた新生ベッドとの対面になるわけですが、もう、いまから嬉しくて仕方ない。気持ちよく「お願いしますッ!」と預けられるお店に出会えたことは何よりの幸せだと思います。
 ちなみに、予定ではウレタンの交換はしてもらいません。ATHLEGENのベッドの魅力は何といっても適度な硬さのウレタンなので、なるべく替えてほしくないのです。


221025 ベッドの張り替え完了!

 張り替え依頼していた施術用ベッドが帰ってきました! 新生ベッドの表面は実に優しく明るい、穏やかな茶系統の色で、とおっっっても素敵! 用も無いのにまじまじ見ては、一人でへら〜〜っと笑っています。手触りは、本来のものより柔らかくなりました。この柔らかさが軟弱・ひ弱につながるか、あるいは単に表面の加工方法の差に過ぎず材質的には頑丈なものかは今後の注目点です。というのも、今回引き受けてくださった張り替え屋の大将に「もう次は嫌!」と宣告されてしまったからです……。なんでも、結構な手間だったそうなので、まあ、嫌がられても仕方がないのですが。
 たぶん、一番の難点は脚の取り外しができないことで、垂直に立つ脚の部分のネジは外せるのですが、斜めに張った筋交いが脚と天板(?)の両方にカシメ(?)止めされているせいで、完全にはバラせない。せっかくの折り畳みベッドなのに、上半身パート・下半身パートに分解することさえできず、最初から最後まで全体作業。さぞや邪魔くさかったろうな……と、申し訳なく思います。
 そして私自身の手間としても、重い鉄の脚ごと搬入・搬出せねばならなかったわけで、やたらに重くてでっかいベッドをえっちらおっちら運ぶ破目になりました(。秋で良かった。夏なら悲惨でした)

 「今度買い替えるときにはよく見て、勝手の良いベッドにしたほうが良いですよ」と、張り替え屋の大将は張り替え目線・搬出入目線でおっしゃってくれたけれど、整体屋目線で言わせてもらうならば、実際に使って、使い心地の良さを味わった上で選んだベッドなわけですから、そこは譲れません。
 なんせ2時間近く同じ姿勢で寝っぱなしでも疲れない。この美質は私の仕事に不可欠で、寝転んだ瞬間収まりが悪いベッドとか、しばらくはふかふか心地いいけれど30分持たずに沈み具合が不快になって帰りたくなるベッドとか、「これは無しだな」なベッドを私はいくつか知っています。どんどん使い捨ててぱっぱ買い換える安い消耗品とかではないですから、怖くて、別ブランドに手を出す気にはなれません。

 が、でも、今回張り替えをお願いして教わったことは、ATHLEGENのベッドは、ぐるりに鉄枠が張ってあって、そこに5mm厚ほどのベニヤ板が固定されずに嵌まっている。ウレタンは高品質なものを使っているけれど特殊なものではないようですよ、とのことなので、次に不具合が生じたときには鉄部分(=枠と脚)だけ残して全交換が可能かもしれない!と希望が湧きました。
 で、「次にお願いするとしたら10年後か20年後になるとは思いますが――」と言いかけたら、「その頃にはもうワタシは隠居してるし、今回だってめちゃくちゃ大変だったから次は嫌! もうしない!」大将に笑いながら拒絶されて、「……ですよねぇ……」、すごすご引き下がる私。
 でも10年後はともかく、20年後の私だって、もうこのベッドは重くて運べないかもしれません。今回だって腰の椎間板が怪しい具合だったし、いまのうちから軽いベッドを探し始めるとか、現実的な対策も考えておいたほうが良いのかもしれません。やれやれ。


221212 自転車修理

 数週間前のことですが、愛用している自転車の後輪の調子がどうも悪いことに気付きました。漕いでいるとすっ、すっ、とどこかに擦れているような音がして、降りて見てみると、確かにタイヤが少しひずんで回転している。でも見る限り、どこにも擦れてはいないようです。
 今夏の始めと終わりに二度、後輪の歯車に、着ているレインコートの裾を巻き込んだことがあって、どうにもならず、最後はギュ――ッと力任せに引っこ抜いたことがあったので、そのときに歯車をおかしくしたのかもしれない、と思って歯車をぐるぐる回しながらじっくり見てみるけれど回転はきれいです。汚れか?と、ちょっと掃除してみたりしたものの、そもそもそんなに汚くはなかったし、漕いでみるとすっ、すっ。やっぱり音がします。

 丈夫なママチャリではあるけれど、私を含め、重い荷物を載せて結構な長距離を走らされる自転車なので、ちょっとこのままでは心配だな……と思い、近所の自転車屋さんに行きました。
 最初に応対してくれたおにーさんに、レインコートのことも含めて説明すると、ふんふん頷きながらタイヤをからから回し、スポーク(タイヤの内側に放射状に張られた梁)を順番にきゅっ、きゅっと握っていって、「ああ、ここが折れていますわ」。直ちに原因解明。

 スポーク1本でこんな事態になるの!? ていうか何で折れてるの?!
 衝撃を受けつつも、「修理してくれているところを見せてほしいのですが」とお願いするとあっさり「どうぞ」。順番待ちの加減でおにーさんよりは少し年配そうなおにーさん(大)に引継ぎされて、いざ修理開始。

 タイヤの空気を抜いて、ささっと折れたスポークを外して新しいスポークを差し込んで、独特な形の道具できっちり締める。ついでに後輪全周のスポークを点検しつつ締め直す。で、空気を入れ直して作業は終わり。
 折れたスポークの切断面を見ながら、「これはニッパーで折られたのかなあ?」とおにーさん(大)が首を捻られるので、「ええっ? いたずらされたってことですか?!」つい反射的にうろたえかけて、あ、そうか、とおにーさん(大)には説明していなかったことに思い至り、レインコートの話をすると、「ああ、じゃあそのときに折れたんでしょうね」。おにーさん(大)もすんなり納得。案外、レインコートトラブルでスポークが折れる事態は、珍しくないのかもしれません。

 お礼を言ってお代を払って漕ぎだすと、擦れた音はもう鳴らないし、タイヤの回転が安定しているのが実感としてわかります。何より乗っていての安心感が全然違う。
 自転車屋さんの修理作業を見せてもらうたび羨ましく思うのは、この、原因解明の明快さと作業結果のわかりやすさです。この理路整然が、自分の整体でも当たり前に達成し続けられたなら、理想なんだがなあ。


230306 大和川の掃除と西除川

 3月5日は朝から、近くを流れる大和川(やまとがわ)の掃除に行ってきました。大阪府が主導して複数の市が参加する、年に一度の大和川と石川(いしかわ。こちらはちょっと私の生活圏から離れている)の大清掃大会があったのです。わりと直前に市の広報紙で知って、急遽私も参加してきました。
 大和川は奈良から大阪へと流れる川です。そのむかし中国の隋とのやり取りをする際には船が行き来し、隋からの使者に我が国の文化度をアピールするために法隆寺が大和川近くのあの位置に建てられたのだ、と、ずいぶん以前にテレビで教わりました(「ビーバップ! ハイヒール」だったかな? ちょっと記憶は不確かですが)。大和川も石川も、琵琶湖から流れる淀川とは比べ物にならないこぢんまり加減ですが、大阪南部を流れる川の中ではそこそこ大きい部類です。
 その川原のごみ拾いをする、という集まりでした。

 拾ったごみは、まあだいたいは想像の範囲内で、ビニール的なものが大半でした。生活ごみの枠内で捨てられそうな長靴1足が、揃いで捨てられていたのには首を傾げましたが、意表を突くような・思わず目を瞠(みは)るような物は特に見つからず、目に付く異物をひたすら淡々と拾うひととき……。
 なんだかんだ言ってそこそこ綺麗ってことかしら。安心しつつ、それでも1時間足らずで、支給された45リットルの袋はそれなりに重くなって、私の作業は終了。

 でも実は私が大和川より気にしているのは、その横を流れる西除川(にしよけがわ)なのでした。大和川よりこちらの周辺のほうが、掃除が必要なように私には思える……。
 西除川は、対になる東除川(ひがしよけがわ)とコンビで、堺市・大阪市南部へと流れる灌漑用水路です。水源池は大阪狭山市にある日本最古のダム式溜め池・狭山池(さやまいけ)です。法隆寺好き・奈良好きの私としては大和川ももちろん好きで大事にしたいけど、掃除を急ぐのはどっちかと言うと西除川では? 西除川界隈の掃除をしたいよなあ……常々思っていました。

 大和川と違ってこちらには川原がなく、コンクリートで作られた〈水路本体〉と道路を隔てる〈柵〉との〈間〉、みたいな部分があるだけなので、柵を越えて侵入してうろちょろするのはオバチャン的にちょっと自信がない。柵を越える時点でアウトなのかもしれませんが、その柵だって結構高いし、道路から水面までもかなりな高さがあるので、うっかり落ちたら多分私は戻ってこられない。そしてビビっているときに限ってきっと私はうっかり落ちる…という恐怖があるので、前倒しでビビってそもそも行けない。
 なので、公式に鍵を開けて通してくれて、万が一落ちても拾ってくれる保証を確保した上で「〈間〉のところを片付けておいで」と言ってほしいのだけれど、そんな機会はないもんかしら……。そう思って、帰り際に大和川清掃のスタッフ(堺市職員)のかたに訊いてみると、「西除川は大阪府の管轄だから、堺市だけではちょっと動けない。要望があれば大阪府に言ってもらったほうが……」とのことでした。

 ……う――ん……。掃除大会をするよ、と言われたら参加したいと思うけれど、じゃあ直訴に行くか?と考えるとそれもそれで腰が引ける……。
 もうちょっとウロウロ悩んでみて、肚が極まれば、直訴でなくお伺いに行ってみようと思います。理想は、〈西除川ウイーク〉みたいな1週間ぶっ続けの掃除企画があるとありがたい。これなら私でも水曜日にがっつり行けます。たぶん、「そんな企画はない」と言われて終わるでしょうが、川の周辺がすっきりすれば、かなりスガスガシイと思うのですよ……。


230325 整体セミナー、一段落しました。

 先日、整体セミナーがいったん終了となりました。2022年初頭から始めて1〜2ヵ月に1回くらいの頻度で、2時間×9回でひと区切り。実用に足る方法論を説明するための長さとしては、こんなものかな、と思います。終始穏やかに、好意的にお付き合いくださったお二方には、最後まで助けてもらいっぱなしでした。

 筋力検査セミナーも同じことですが、技術の使い方を習った後には実践の時間が必要です。自分が根差す現場・目的に沿った形で、自分なりの技量・センスに基づく〈技〉を育てていかねばなりません。この〈自分なり〉の時間を充実させるためには〈師匠的な人〉の存在はあんまり必要ではなくて、場合によってはむしろ邪魔になりかねない、と私は思っています。
 技術の使い方はわかった、考え方もわかった、でもまだ作業そのものに不慣れなために腕だけは伴っていない…という段階では、地道な試行錯誤にじっくり時間を掛けたい。そうやって、一人でコケたり困ったりしながら習った技を自分のものにしたいのに、その傍を、もうすでに知ったふうな顔でウロチョロ様子見されると落ち着かない、と、私なら思います。……まあ、今回のお二方は私ほどヒネた見方はされないでしょうが、練習する姿がそれなりに様になってきているのを横で見ていて、まあ、もうええやろ、もう私は要らんやろ、の気分が私に湧いたので、その気分に素直に従うことにしました。
 もちろん、また必要なようなら続きをしますよ、と言った上での円満解散です。

 私自身の経験でいうと、頭でするお勉強は「わかった!」という瞬間がわかりやすい。先生の説明を聞いたり自分であれこれイメージしたり、「わからんなあ……」というモヤモヤ曖昧な気分を、煮詰めるともなく煮詰めていると、ある瞬間、納得がつながって、「あ、はいはい、わかりました」。腑に落ちる。
 一方で、手でする勉強は「うまくなった」がわかりにくい。ああかなこうかなと一生懸命工夫を凝らしているうちに色々なことが当たり前にできるようになっていて、あるときふと振り返ってみると、「あれ、そういえばこんなこと、前はできてなかったな」。そこでようやく自分の上達具合を、にんまり噛みしめる。
 「筋力検査って何ですか?」から始めたお二方が当たり前に検査を使いこなすようになり、問題を見つけ、何かしらそれに働きかける。その手順がたとえいまはまだたどたどしくても、もう、既にうまくはなっています。そしてその実感が手応えにつながってきたら、もっと具体的にオモシロくなる。これぞ手仕事の醍醐味!ですね。


230617 手拭いを思う

 久しぶりに、普段使いの手拭いを染めました。
 染色に使ったのは、以前買い置きしていたダイロンのマルチカラー。汗かきなのに、パイル地のタオルより木綿の手拭いのほうが使い心地が好きなので、夏場はやたらに枚数が要ります。必要量を、市販のおしゃれな手拭い製品で買い揃えるのはなかなかの出費なので、晒(さらし)を1反(? 1袋?)買ってきて、それらしい長さに切り分けて、バシャッと染めて使っています。初期の頃には型紙なんか切って絵というか模様を入れてみたりしていたけれどすぐに作業に飽きたため、近年はそれも放棄。単色で、のぺっと色付けだけしています。さすがに真っ白のままだと三角巾みたいだしな、と思いまして。ささやかな愛想付けに。
 晒1袋で大体11枚(? 11本?)くらい作れて、それを数年使い倒して、生地がヘタって裂けてきたら4つくらいに切り分けて使い捨ての雑巾にする。まさに最後まで使い倒します。

 手拭いは、長い晒を切り分けた短辺を断ち切りのままにしておくことが実用的かつ粋だと言われているようで、要は、生地の重なる部分がないから、乾きやすいし汚れが溜まりにくい。使い始めのしばらくは糸がほつけてくるけれど、それを切り捨てながら使っているとやがて落ち着くから、それで良いのだ、と。
 でも布端で糸がピロピロしてるのはちょっと締まりがないようにも思えて、私は毎度、迷います。非実用的かつ無粋でも良いから、三つ折りして縫っておいたほうがキリッとするんじゃないかしら……。
 どうせ数年使えば雑巾になるとわかっているのに、毎回迷う。しかも、しばらく使って草臥れかけてから三つ折りするのはなんとなく癪なので、どうせなら染めたてのときに縫ってしまいたい。うーん、どうしよう……。

 前回染めたときは、実用的かつ粋、の呪縛に負けて断ち切りにしました。その前も断ち切り。その前は三つ折りしてミシン。
 うろうろ迷って決めかねた今回は、5枚は三つ折りして手縫い、残りの6枚は断ち切りにする折衷案を採用することにしました。それで、それぞれを使ったときの自分の気分と生地の劣化具合を観察して、今後の方針を決める。もう迷わない。……って、この辺の納得に至るまでの手続きがねー、我ながらめんどくさいのよ。


230720 興福寺に行ってきました

 先週の12日に奈良の興福寺まで自転車で行ってきました。今月下旬から五重の塔が修復作業に入るそうで、足場組んで覆われてしばらくは見れなくなるよとテレビで告知されているのを聞き、ではその前に、と思い立ったのでした。
 阿修羅像で有名な興福寺ですが、私は行ったことがありませんでした。地図で道筋を確認して、後は奈良公園のそばまで行ってから訊けば誰かが教えてくれるだろうと、少々雑な見切り発車で向かったところ、なんと奈良公園の中(!)でした。門のところで拝観料を払って中へどうぞの感覚でいた私としては、公園内にぼんと塔が建っていて、通りすがりに眺められるなんて、なんて贅沢……感激しました。またこの塔が美しい。真正面から見るとちょっとぽわっとした雰囲気で緊張感が弛むけれど(屋根がいくらか下がっているから? それを修復するのかも?)、斜めから見ると実にすんなりしている。

 公園内に散在する建物のうち、拝観料というか入館料が必要なのは阿修羅像のいる国宝館とご本尊のいる中金堂で、東金堂は現在閉堂中、塔その他はそもそも入れないようです。私は塔を見に来たんだから塔だけ眺めて帰ろうかとも思いましたが、せっかくここまで来たんだしの貧乏性も湧いてきて、結局両方を拝観。噂の阿修羅像とも対面しましたが、意外にも、怖くて見れませんでした。すらりと長すぎる腕に落ち着かないのです……。背中からわさわさ手が生えてる千手観音は平気どころか大好きなので、私の怖さのポイントは本数じゃないのですね。新手の職業病なのかもしれません。はあ。高校時代は社会科の資料集見てうっとりしてたのに。


 春夏秋冬、自転車で出かける際は天気が気になるものですが、いまの時期はとりわけ気を使います。雨でも困るけれど暑すぎても困る。なんせ前日の予報では〈熱中症注意〉〈屋外での運動は危険なレベル〉と言われていて、その中を承知で行くわけですから、倒れるわけにはいきません。比較的行き慣れた法隆寺界隈をさらに越えて奈良駅界隈に行くには追加の水と気合が必要で、水1リットル+薄めたスポーツドリンク1リットルの計2リットル、気合は、無理ならすぐに休むこと・帰ること、なるべく朝早くに出ることを肝に命じて行きました。
 幸いその日は曇り空で、覚悟したほど疲れることなく帰ってこれました。が、その翌日だったか翌々日からは猛烈な照り具合になって、今日だったら無理だったな……げんなりしました。

 しかしコロナのときの世界的かつ強制的な自粛期間中は夏の暑さがマシだった――という衝撃を体験してしまった今となっては、生きとし生けるものみんながうっすら被害者みたいな〈地球温暖化〉という言葉はもうやめにして、もうちょっとちゃんと加害色の強い〈公害〉という言葉に替えるべきなんじゃないかしらと思う今日この頃です。全世界で協力して飛行機の便数を極端に減らしたりとかすれば、なんかそれだけで涼しくなるんじゃないの……とか妄想してみたり。なんかいい加減、かつての四日市ぜんそくを天然の大気汚染と言い張り続けるような、大胆な無理はやめましょうよ、と、思っているのは私だけではないはずです……。


230728 佐々木朗希投手のケガに思う

 ロッテの佐々木朗希投手がケガされたとのことで、非常につらいです。野球に限らずスポーツ競技全般、試合も選手も全然詳しくない私ですが、佐々木投手は、13連続奪三振のニュースを見て以来、あの美しい投球フォームにメロメロだったのです。

 整体の現場で動作分析・姿勢分析をすることはないですし、投球動作全般を研究したわけでもないので完全にド素人な印象で言いますが、一般的な投球動作は重心線が前に移動するように見えます。両足を揃えて立って、前側の足を振り上げて・踏み出しながら骨盤にひねりが掛かると、後ろ側の足が付いてくる。下半身は、大きく前に一歩踏み出す形で着地して、その間、上半身はずーっと前に伸びていく。ピッチャーマウンドから前方方向、縦長に、力が移動していくイメージです。
 それが佐々木投手の場合は、前方方向・縦長に伸びるのでなく、投げた瞬間、力が下に向かうように見えます。イメージでいうと、四角い折り紙を三角に折る感じというか、その場で前転の宙返りをしている感じというか、重心線が前に伸びていかない感じがする。これが、私にはとても美しく思えるのです。
 たぶん、この投げ方をすると肩にかかる負担が小さくて済むのじゃないかと私は思っていて、そのために私は、佐々木投手のフォームに安定感とか独特の小気味よさを感じるのだろうと理解しています。ですがひょっとすると、その投げ方を維持するために、他の人より余計に内腹斜筋(ないふくしゃきん。今回肉離れした筋肉)に負担がかかるのかもしれません。うーむ……。

 ともかく、あの絶妙な重心移動(というか移動の無さ)の美しさは目の肥やしです。じっくり構えて養生するのはもちろんのこと、妙な筋トレ・リハビリでバランスを崩すことなく、是非とも、そのままの状態で帰って来てほしい!と願います。


230803 ロッテ・佐々木朗希投手と阪急・山口高志投手

 前の記事の続き(?)です。

 「佐々木朗希投手に施術がしたい! あのケガは私の案件だと思うんです!」と、アポイントメント無しに押しかけて大学時代の先生相手に、100%素面・100%本気でくだを巻くというか駄々をこねていたら、「ファンなの?」と訊かれました。
 う。……。ファンなのか、と言われると素直にそうとも言いにくいので(なんせ試合は見ないしSNSとかも追ってないし)、いや、あの投球フォームの美しさがですよ!とひとくさり語って、「だからあのフォームが、ケガなんかで変わるようなことがあってはイヤなんですよッ!」と締めくくると、「ああ、それでわかった」とひとり納得された先生は、佐々木投手は阪急の山口高志投手と同じタイプの投げ方だと思う、佐々木投手に比べると身体の折る位置が低かったように思うけれど、あの人も、当時の標準からするとずいぶん速い球を投げていたよ、と言われました。

 帰宅してからYouTubeで確認すると、……うーむ、確かに。先生が言われたとおり、山口投手と佐々木投手では〈前転〉の軸の位置が違っていて、山口投手のほうが低いから印象は少し異なりますが、タイプはまったく同じです。
 は――、素敵。やっぱりこの型で投げる人はいるのだな……山口投手のフォームに感じ入るとともに、突撃されて整体屋の自論を無理やり聞かされて、なのにすぐに連想を開いて新情報をくださるなんて、先生もどんだけすごいねん、頭が下がりました。

 先生は、「山口投手は腰を悪くされたんでなかったかな」と記憶を手繰られ、もしもそうであるなら、投球のリリースの瞬間に肩を傷めがちな通常フォームに比べると、〈前転〉型のフォームは軸を支える筋肉周辺を傷めがちなのかもしれません。軸が少し高い佐々木投手の場合は内腹斜筋に負担がかかり、少し低い山口投手は腰に負担がかかる(腰のどのあたりかまでは確認してませんが)――その差も、そう考えると納得です。


 ちなみに、野球少年なお客さん(もちろん私よりずっとお若いかたです)に山口投手の話をすると、「知ってます! めちゃくちゃ速かったって有名ですよ」とおっしゃってました。またもや、私が知らなかっただけのようです。やれやれ。


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